禅の悟道の精神を表した詩として親しまれている七言絶句がある。それには、第1句の「尋春不見春」、第4句の「已十分」をを除く詩句に複数の本文が存在するだけでなく、複数の作者と複数の詩題が存在する。宋代以降において、拈華微笑の公案の成立と、その悟道の精神を梅花になぞらえて賛美する発想の出現とを背景として成立した七言絶句が、口承の世界で流伝し、増殖と拡散を繰り返した結果と考えられる。