川瀬一馬氏の棭斎書入翻刻は、棭斎書入の門人前田夏蔭の書入を翻刻したものであるため、夏蔭自身の書入が竄入している。本稿では、狩谷棭斎の書入を改めて翻刻し直した。棭斎は、歴史的な事柄を和書に基づいて書き入れており、江戸期において懐風藻は、歴史的な興味関心を持って享受されていたことがうかがわれる。