『菅家文草』所収の藤原道真詩について、注釈を施した。渤海大使である裴頲に「禮部侍郎、得白氏之體」と評価されたことを「偽り」だとする道真の屈折した心境には、己の急激な出世に対して向けられる嫉妬への嫌悪が影響している。そのような妬みや嫉みが渦巻く世間を「俗」だとし、それにとらわれない自身の生と全うしようとするが動揺する道真の心境が詠出された作品である。