西山地蔵院の寺誌である『笠山会要誌』については、これまで東京大学史料編纂所が所蔵する謄写本が知られていたが、本稿では地蔵院に伝承・所蔵されてきた写本を紹介・翻刻した。また、同書の執筆契機や伝本過程、編纂所本との相違点などを検討した上で、近世に編纂された寺誌が檀那に対して奉加を求める根拠として用いられていることを指摘。中世に編纂された寺誌とは、その役割を異にしていると結論付けた。