二尊院蔵「七箇条制誡」と黒谷本「一枚起請文」には、それぞれ違った形の法然花押が据えられているが、黒谷本「一枚起請文」の花押の方が「法然花押」としては一般的であり、これをもって本文書が法然真撰であることの担保とされていた。翻って「文書の真正性」という観点から黒谷本に注目すると、他の遺文に比べて何重にもわたる真正性の確保がされており、単なる真正性以上の意味合いが籠められていたものと推測される点を指摘した。