本稿は、17世紀のチェコの思想家ヨハネス・アモス・コメニウスによる『第一哲学』(Prima Philosophia)の執筆過程と書誌情報を考察し、序文と第1部・第2部の仮訳を提示するものである。コメニウスは教育改革者としてのみ捉えられてきたが、彼の教育思想は、彼の哲学的探求を通じた産物の一つであった。このことは、彼の教育思想を全体として理解するためには、彼の哲学への遡及的考察が不可欠であることを示している。1630年代初頭に起草され、3世紀にもわたって知られることのなかった本作品は、短いながらも、晩年の『パンソフィア』形成に向けた彼の形而上学的思考の過程を把握する上で重要な意味を持つ。