本報告は、J. バトラーの理論を再解釈しながら、「自由」をめぐる闘争の社会理論的位置づけを検討するものである。その手掛かりとして、バトラー理論から導かれるふたつの「他者性」、すなわち主体化に伴う構成的外部たる「(非)主体」と、言語の非完結性ゆえの「批判的脱主体化」の関係に着目した。また、グローバル化やネオリベラリズムの進展する現代社会における社会批判の可能性にも言及した。