本書は、メディア(主にその言説や表象)をプリズムという装置として扱い、歴史学・メディア社会論・映像学・表象研究などのアプローチから近現代の中国・日本・台湾における政治や社会の状況を読み解くことを目指したものである。広告におけるイメージ、舞台演劇におけるパフォーマンス、テレビドラマにおける物語、報道番組における議論などには、その時々の社会状況を明確に反映しないことも多い。故にそこに描かれてはいないこと或いは意図的に隠されていることを発見し、さらに読み解くことが重要だと考える。本書は「序章」・「第一部 近代篇」・「第二部 現代篇」の全12の章からなる。アメリカ人記者が見た近代中国と日本、上海で刊行されていた日本語雑誌、日中戦争下の話劇プロパガンダ、テレビドラマからみた戦後台湾、3・11震災後の国際関係報道言説など、さまざまなメディア表象の諸相を解読することを通して東アジアの歴史と社会を考察する。