本稿では、2009年に放送され、反響を呼んだテレビドラマ『光陰的故事』を対象とし、その内容を分析することを通して、そこで映し出された眷村文化の一端を考察する。まず、眷村の概要を簡単に紹介したうえ、分析対象であるテレビドラマ『光陰的故事』について概説する。次に、このドラマのテキスト分析を行い、そこで表象された眷村文化を複数の側面から考察する。最後に、テレビドラマによって呈された眷村表象について、「表象⇔現実」という構図(やや批判的な視点)からその欠如していると思われる点を検討した。以上の分析を通して、このテレビドラマによって表象された「眷村」と戦後台湾社会における現実的な眷村とのあいだにどのような/どの程度の同異があったのかを考察した。