本稿は、かつて大阪を中心として活動続けた毛沢東思想学院の宣伝活動を、学院が立ち上げた宣伝隊に焦点を当て、ドキュメンタリー映画『夜明けの国』の上映活動を通して、その実態と特徴を明らかにするものである。具体的には、まず毛沢東思想学院宣伝隊の設立経緯・組織構造・活動実態をできる限り明らかにした。そのうえで、『夜明けの国』の上映活動を通して、毛沢東思想学院創設者である大塚有章の宣伝思想のルーツ、ならびに毛沢東思想学院における宣伝活動の特徴・傾向を分析した。映画『夜明けの国』の上映活動は1970年前後における毛沢東思想学院宣伝隊の最重要活動(学院の知名度アップの目玉イベントともいえる)として位置付けることが可能であり、それを通じ学院の宣伝活動の状況を一定程度に明らかにできた。史資料の制限によって、毛沢東思想学院側が公開・出版したものを中心資料として使用した。