従来、都の錦『元禄大平記』に先行する西鶴地獄廻りを趣向とする作品であるという程度の位置づけしかなされてこなかった幻夢『西鶴冥途物語』(元禄十年五月刊)について、元禄期前句付俳壇の種々の様相を反映した史料として見直し、また中島随流『貞徳永代記』の執筆態度や趣向に影響を受けたものであることを明らかにした。