日本文学研究の専門誌が次々と休刊に追い込まれる昨今、専門研究の深化が望まれる一方、研究対象である古典文学(あるいは「古典」に限らないであろうが)に若い読者が触れる機会が減少する傾向にある。こうした現状を打破すべく執筆者各位が教育現場で実践している取り組みが報告された。 だが、若い読者が古典文学に触れる契機がなくなったわけではない。 たとえば、冥府を描く江口夏美のマンガ『鬼灯の冷徹』(二〇一一年~、講談社)作中に、秦広王の第一冥官として小野篁が登場する。本ゼミのメンバーである学生は、この篁に興味を持ち、『