キーワード:井原西鶴、『本朝二十不孝』、漢文帝、毒殺、
井原西鶴『本朝二十不孝』「今の都も世は借物」(巻 一ノ一)の結末において、篠六が父親を毒殺すべく気 付を差し出しながらも、思わず毒試しを行い息絶えて しまう。該当箇所については、『二十四孝』「漢文帝」 説話の利用が指摘されてきたが、その利用方法につい ては議論が分かれていた。だが、該当箇所を詳細に検 討すれば、篠六の外見上の行為は漢文帝そのものの孝 行と評すべきものであり、一方、内実は漢文帝とかけ 離れた不孝と評すべきものであると理解される。すな