本書は新羅浄土教における貴重資料二書(共に『無量寿経』末疏)の影印・翻刻の紹介と論考を収録した。一書は玄一撰述(書陵部蔵本)であり、諸本比較の結果活字本の脱文問題の指摘や『大経』『観経』の成立前後を論じる逸文箇所の考察をした。もう一書は義寂撰述(身延文庫本)である。従来逸文を蒐集した復元本のみしかない中で、断簡ではあるものの本書が見いだされ、その重要性を論じた。