古本『漢語灯録』には法然の『往生要集』註釈書を四本収録する。これまで著述前後に関する議論がなされているが、決定的な論はない。古本『漢語灯録』以外に単独で現存する『往生要集釈』の説く念仏には振れ幅が存在すること、また良忠の『往生要集鈔』跋文とそこに引用する法然の註釈書により、四本以外の存在が確認できることから、『往生要集釈』は複数の断簡が整理・編集されて現在のように成立したと推考する。