法然の『往生要集』註釈書は四本伝存する。述作問題についてはすでに多くの研究成果の蓄積があるも統一した見解はない。本稿では『往生要集』念仏証拠門から導出される「六義」に焦点をあて、同内容を述べる『阿弥陀経釈』や良忠『往生要集鈔』に引く六義を比較検討した。その結果『往生要集釈』の六義、『逆修説法』、『選択集』の順で変化していくことを確認した。またそれは八種選択のうち選択我名の成立過程を追うものでもある。