法然は『選択集』で「浄土三部経」から「八種選択義」を導出する。しかし「選択我名」のみは『般舟三昧経』(一巻本)を根拠に導出する。本稿において「選択我名」は法然が長年熟考を重ねた結果であることを論じた。まず『往生要集』所引の『般舟三昧経』三巻本の「念我」に注目し「自説不自説義」を説く。その後善導の影響で一巻本が説く「念我名」から「弥陀自言」を説く。そして『選択集』で「選択我名」へと昇華するのである。