『選択集』所説「八種選択義」の一つ『阿弥陀経』から導出される「選択証誠」の成立過程を見た。初期は『阿弥陀経』の①「念仏往生の旨」(弥陀本願)に対して②「釈迦証誠」と③「諸仏証誠」を説く。これを善導『法事讃』「随縁雑善」等の文で解釈して①と②を合釈し④「釈迦仏選説念仏往生旨」と表現するようになる。最終的に④は『選択集』第十三章「念仏多善根篇」の議論に回収され、「証誠」の語は六方諸仏のみが担うことになる。