浄土宗第七祖聖冏の著作に三祖良忠の『選択伝弘決疑鈔』の註釈『決疑鈔直牒』がある。従来江戸時代初期の版本が最古であったが、それを約百年遡る写本が日蓮宗総本山身延山久遠寺の身延文庫に保存・管理されている。当該書と版本系統とを比較した結果、少なからず異文を確認した。①身延文庫本のみに存する文、②共通箇所における特徴、③版本系統のみに存する文の考察から、その資料的重要性を指摘した