『無量寿経述記』に引用される経典から成立年代を検討した。長安における撰述とするならば、『大般若波羅蜜多経』訳出の六六三年より『方広大荘厳経』(地婆訶羅)訳出の六八三年の二〇年の間、新羅における撰述と考えるならば義寂の師義湘帰国の六七一年より『方広大荘厳経』訳出の六八三年の一二年の間と推測する。また出典名のない一文が『功徳施論』(六八三年地婆訶羅訳)であれば、地婆訶羅訳を巡る『無量寿経述記』撰述の状況が垣間見られる。