浄土教の諸師は『無量寿経』冒頭箇所で仏陀の成道を八相で示す箇所(八相成道、八相示現)を注釈している。慧遠、伝吉蔵、義寂、憬興、了慧を比較した結果、分類について、伝吉蔵以外は慧遠の影響下にあることを見た。とりわけ義寂は『華厳経』の「十」の概念を使用して注釈し、また仏伝と『涅槃経』を用いて八相示現を注釈することで、「処兜率天」から「入涅槃」までを一具とした仏伝を編集することに、義寂の解釈方法の特徴を見た。