本稿は、書陵部蔵『無量寿経記』巻上の影印と翻刻を紹介したものである。正確には高山寺旧蔵本の復元を試みたものである。というのは『無量寿経記』諸本中最古で他本にはない文を有しつつも、大正期に書陵部に蔵されるまでに欠損しているからである。その欠損を補うのが、『教行信証』の臨書をしたことでも有名な順藝(1785-1847)が、欠損前の該本を臨書した巻子本である。これによって書陵部本の欠損を補った。