良忠には『浄土宗要肝心集』三巻とそれに増広を加えた『浄土宗要肝心集』五巻がある。本稿では従来知られている両書の写本・刊本に加え、一つには如導(1284-1357)写の東向観音寺蔵本と浄空(不詳)写の真福寺本を扱い、諸本の変遷を考察した。五巻中第二巻のみの比較ではあるが、『浄土宗要集』はその名を有する頃から、増広・編集され続けて現在の形になっていることが判明した。