京都市上京区に在る東向観音寺は良忠撰『往生要集鈔』を蔵する。全八巻中、二、三、七巻を有する。全てに正和三年(1314)の奥書があることから、現存最古の伝本となる。他の諸本と比較検討した結果、『往生要集鈔』と『往生要集義記』のみの二系統ではなく、『往生要集鈔』の中でも二系統の増広が見受けられた。また東向観音寺は尊経閣文庫と同様最古の系統に属することが判明した。