『往生要集鈔』と『往生要集義記』の相違は過去指摘されながらも、全体的な比較検討がなされることが無かった。諸本を比較検討することで、『往生要集鈔』から『往生要集義記』への変遷を時系列に整理し、『往生要集義記』は寛永五年から十八年の間に開版したと推察した。著者の名を残しつつ後人により編集される書物生成の運動が読み取れ、著者・文献・読者の複雑な関係を捉えることが課題となろう。