本発表ではJewanskiによる最新の絵譜の研究をもとに、絵譜の萌芽期にドイツで見られた絵本や音楽教材に着目し、Grüger兄弟の絵譜へとつながる過程を追うとともに、その後のドイツでの絵譜の発展と変遷について考察していく。
ヨーロッパ発祥の、絵と音の融合がもたらした芸術の産物に息づく芸術的・教育的思想を捉え、その特徴と時代性を理解することによって、絵譜の故郷ドイツにおける絵譜の位置づけを確認したい。また、様々な絵と音の融合の事例をそれらの変遷を踏まえた上で比較、検討することにより、絵譜の発展性や今後の教材としての可能性についての示唆を得、日本における新たな絵譜の可能性を示したい。