本研究は,幼児の歌唱活動時に「絵譜」を用いることで,歌唱活動の質的向上が見られるかを明らかにし,幼児期にふさわしい視覚情報としての「絵譜」の教材価値と有用性を検証することを目的とする。
研究の第一段階として,将来幼児に音楽指導する立場となる保育者志望の学生が自ら絵譜を作成することにより,作成者に見られた音楽上の課題や問題点を明らかにし,その成果を図ることを目的とする。
2014年1月,幼児教育保育学科2年の選択科目授業(科目名:「世界の保育」)の取り組みの一つとして,絵譜の作成を3コマ(4.5時間)にわたり行った。
絵譜作成をとおして学生に気づきや学びが得られたことを,質問紙調査によって確認できた。音楽を指導する立場となる学生が,本活動によって楽曲分析能力を身につけ,音楽の仕組みや歌に対する理解を深めた経験は,保育現場で歌唱指導を行う際に活かされるであろうと考える。
今後,実際に保育現場で絵譜を用いた歌唱指導を行い,幼児の歌唱活動の様子や指導者側の立場から,絵譜の教材性を考察したい。