本研究は、 2021 年度に行った、集団歌唱活動が制限されるコロナ下において、絵譜を子育て支援のツールとして一年間継続的に配布し、絵譜が養育者らにどのように受け止められたか、絵譜が家庭における歌唱活動を増進させ、子どもに豊かな歌唱の営みを提供し得るか、また、子育て支援のツールとして絵譜の意義や活用方法について検討することを目的とした研究の継続研究である。2021年度の調査及び分析の結果、保護者は絵譜そのもの、そして絵譜の配布を肯定的に受け止めていたことが明らかとなった。しかしながら、絵譜の配布をコロナ下の保育実践に取り入れ、実際に保育現場で子育て支援の立役者を担った園長はじめ、K 幼稚園の保育者の思いや反応については、十分に検討することができなかった。
そこで本研究では、2021 年度の継続的研究として位置づけ、各家庭に毎月絵譜を配布する取り組みについて、保育者側に焦点を当て、絵譜の子育て支援における活用を検討することとした。
園長へのインタビュー調査で得られたデータを「小規模データに適用可能な質的データ分析方法」(大谷 2011)である SCAT の手法(Steps for Coding and Theorization)に基づいて、分析した。