本研究では演奏曲目で取り上げる食品を実際に味わいながら音楽を鑑賞するコンサート実践により、幼児たちの食と音楽への興味・経験に根差した、五感に訴える体験の場を提示することを試みた。 また、「音楽を食体験とともに味わう」ことのできる仕組みにより,幼児の能動的参加を促し,音楽鑑賞活動が幼い鑑賞者にとって主体的な活動となり得るのかを検証した。
当日の映像記録と,コ ンサート終了後に行ったアンケート調査の結果から,音楽を食体験とともに味わうことのできる本実践により,幼児の能動的参加を促し,音楽鑑賞活動が幼い鑑賞者にとって主体的な活動として機能することが確認できた。しかし幼児が食べることへの興味に偏り,音楽的興味への波及が見られないケースや,おやつを提供する企画により,保護者が本実践に音楽的内容よりも食育的内容をより求めたと感じられる記述も見られた。