保育者養成校においてミュージカルの制作指導を行った結果、ミュージカル制作活動には表現力の育成だけに留まらず、その他様々な能力育成に高い教育的効果がみられた。この教育的効果は、学生が他者と関わることによって得られるものであるため、本稿では、学生は他者と関わることによってどの様な能力を身につけていくのか、また教員は学生の成長を促すためにどのような関わりが必要であるのかに焦点を当てて検証を行った。
その結果、学生同士の他者理解が個性の尊重に繋がり、お互いに高め合い認め合う雰囲気を生み出し、意欲的に取り組むようになった。そして、支え合いながら安心して自分を表現する姿が確認できた。また、教員が熱心な姿を学生に見せ、学生の学ぶ環境を良好な状態で保つ努力をすることが、学生の意欲向上に繋がることも確認できた。このように、学生同士や教員と学生の深い関わり合いが大きな相乗効果を生み出すことが明らかになった。