1.ウパニシャッドにおける出家主義と王族との関連について、特にヤージュニャヴァルキヤとジャナカ王を中心に、研究代表者はブラーフマナ・アーラニヤカ文献も視野に含め、研究成果を纏めた。また、研究分担者により、法典におけるバラモンと王族の規定から出家と在家に関わる問題点と、ヴェーダーンタ哲学を中心にした出家や四生活期に関わる思想的諸問題を纏め、これを研究代表者が整理した。2.原始仏教における出家者について、特に『雑阿含経』道品を、対応するパーリ・ニカーヤはもとより、現存サンスクリット阿含経や律・論蔵を精査し、これを訳注の形で反映させた翻訳を完成した。この道品は三十七菩提分法を中心としながら、後半に四不壊浄など在家者に及ぶ内容も含まれ、部派の中でその扱いの異なることが知られた。さらに、現存サンスクリット阿含経を漢訳『雑阿含経』と比較し、両者が共通の源泉を有していないことを明らかにした。また、研究分担者