「雷のことば」は『ブリハッドアーラニカ・ウパニシャッド』「補遺篇」にあるが、この「補遺篇」が研究・解釈されることは極めて稀で、私見によれば、T.S.エリオットが「雷のことば」に着目し、『荒地』最終章の主題としたことは、その内容が「DA」という「音→ことば→意味→世界」の世界観が詩人の心に共鳴したと考えられる。
ウパニシャッドの原文「dámyata(制御せよ) dattá(与えよ) dáyadhvam(憐れめ)」が、「Datta. Dayadhvam. Damyata.」、すなわち、人間、アスラ、神々の理解の順に並び替えられ、漁夫王の描写(私)とことば「せめて自分の土地だけでも秩序をつけようか」へと続き、エリオットの世界観が展開する。