初期仏教研究9【アートマンの譬喩】「毒蛇の比喩」は仏典では欲望の喩えであり、原始ジャイナ聖典も同様であるが、『阿梨吒経』ではアートマンの喩えであり、それを否定するのではなく、正しく把握することを説き、輪廻の主体が不可説であるのは、誤った認識に導くためである。そして「欲望→慢→見」という順序で輪廻の原因を分析し、固執の否定を強調すべく大乗仏典にまで引用される「筏の比喩」が併せて説かれる。