比較研究3 輪廻主体の議論について、犢子部の原形と目されるVatsgotraとの問答を収める『雑阿含経』「婆蹉種相応」の構成と無記説との関係を表示し、経引用を含む梵文『倶舎論』「破我品」の婆蹉種出家の議論を考究。無我の理解に至る禅定体験が、「婆蹉種相応」では経の次第に従って説かれ、婆蹉種は古ウパニシャッドの五火二道説によるアートマンの理解から無記説を経て、「婆蹉種相応」最後の964経で阿羅漢となる。