『維摩経』の説く「方便」は第七の波羅蜜として、「智慧と方便」を一対の実践徳目として扱い、両者相まって衆生の教化が実現する。維摩の病気は方便であるが、この点に関して、介護教育の推薦図書になった本を取り上げ、介護する側にもされる側にも、助ける・助けられるという意識が解消し、共生の意義を見出した事案は、施す者にも、施される者にも、施し物にも執着しない「三輪清浄」が実現されていることを示す。