かつて絶対主義国家と理解された近世国家において中央権力の不完全さが指摘されて久しい。こうした学界の認識を踏まえて、近世ブランデンブルク選定侯領における領邦君主と在地貴族との協働関係ならびに両者と領民との関係を、宗務局決定を検討していくことで考察した。結果、領邦君主が地域の自律性・領民の秩序意識を尊重した調停者として、地域の秩序形成に貢献していたことを明らかにした。