唐高宗の儀鳳年間に、長安の光宅坊で仏舎利が感得され、ついでそれらを全国に頒布する一大仏教事業が実施された。本稿は、それに関する基礎史料をふまえたうえで、舎利頒賜の規模と場、舎利を頒賜したのは誰で、舎利を受け取ったのは誰か、舎利頒賜の時期と諸州府への輸送について考察を加え、隋文帝の仁寿年間の舎利塔建立と比較し、仏教事業としての特徴を明らかにする。