「奈良国立博物館所蔵 刺繍釈迦如来説法図の主題 ―則天武后期の仏教美術―」をもとに、一部を修正し、内容を簡略にまとめ直したもの。勧修に伝来した本繡仏は、図様に合致する経典が見当たらず、主題の特定が困難とされてきた。しかし、これは本図が特定の経意を表現した経変画ではないためことに由来し、武則天の統治下で制作された、きわめて政治性の強い図であったことを論じた。