綴織当麻曼荼羅や勧修寺繡仏だけでなく正倉院に伝わる金銀器など、唐朝の超一級品とみられる品々へ日本に齎された。ところが、絹製品や金銀器などは唐令において国外への持ち出しが禁じられていた。一方、朝貢使に対する皇帝からの回賜品であれば、例外として持ち出しが許されていた。本稿は、こうした持ち出し禁止品が遣唐使によって日本に齎されたことを指摘する。具体的には、『天聖令』関市令をもとに唐代の関市令を復原するとともに、遣唐使がどのような勘査を受け、どのような経路を通って日本に帰国したのかについて考察する。