本論文は、拙著『西方浄土変の研究』の中心である第一部「唐代の西方浄土変」の内容をもとに、新たにまとめなおしたもの。西方浄土変の到達点というべき中国唐代の作例に焦点を合わせ、『観経』十六観に注目することによって、その成立と展開の跡を歴史的・思想的な見地から考察し、かつ体系的に捉えることを試みる。『観経』十六観は、西方浄土変を理解するうえで最も中心となる思想であったと考えられ、西方浄土変の本質や内的変化を理解するうえでも鍵となる視点であると論じる。