薬師寺東塔の水煙について、先学の研究成果をまとめる。火焔を形作り天人を配するという意匠は、水煙の起源が光明を意味する火焔表現に発すると考えられることから、その光明をあらわす火焔形のなかに塔を供養する天人の形象を取り込んだものと解釈できる。さらに、彫刻史における位置づけの問題については、鋳造技法や表現様式をめぐって白鳳か天平かが議論されてきたが、金属分析の結果、金銅三尊像と同じ天平時代の作とみる見解が支持されている。