目的:子育て世帯の経済背景と生活との関連を知る。対象と方法:2019年6-7月に質問紙法による子育て世帯生活実情調査を実施し、45都道府県2,524世帯から回答が得られ、有効回答は2,398(95%)であった。世帯収入を厚労省の示す可処分所得変換算式に基づき、国民生活基礎調査で示された相対的貧困ラインによって、各世帯を非貧困、境界、貧困の各世帯に区分した。所得分類が不明を除いた2,267世帯の中の相対的貧困228世帯(10.1%)と非貧困1,859世帯(82.0%)を比較検討した。結果:貧困世帯には、ふたり世帯および5人以上世帯、子ども4人以上、ひとり親およびその拡大家族世帯、公的借家および1DK以下の住宅、母親の低い正規雇用割合、父親の長時間および不規則就労、低い幸福感、親の低学歴、ファストフード店の利用が有意にみられた。貧困世帯の母親には、死産歴、健康不安と寝込む経験、うつ病発達障害の罹患、肥満喫煙、こども時代の苦しい生活、体罰DV経験などが有意にみられた。一方、インテーネット接続環境、主観的住まいの広さ、自然環境、近隣との関係など住居環境への意識、夕食の調理などに有意差はなかった。以上、子育て世帯の経済格差に伴って浮き彫りとなった生活実態に関する報告を行う。