本報告は、明治中期の田中智学の立正安国会を事例として、宗教運動発生期の教団組織化過程について分析したものである。 教団の発生期に行われた田中と歴史学者による二つの論争が、日蓮宗門に対する抗議活動を生起させ、そこでの「宗門革命・祖道復古」という認知的フレームワークがメンバー間の関係の活性化をもたらしたこと、そして会員たちの集合的アイデンティティの形成が進み、教団の組織化が図られていったことを指摘した。