本報告では、近年の宗教(仏教)の公的/公共的役割に関する研究動向を踏まえて、新興仏教青年同盟の仏教運動を事例として、戦前期日本の仏教運動の政治的領域における公的/公共的役割を検討した。 考察の結果、戦前期日本の歴史的文脈において、教団や社会の改革主義を掲げる社会・政治志向的な仏教運動が政治領域での公的/公共的役割を果たすには、制度的な政治参加は困難で、必然的に非制度的な政治参加の形態を取らざるをえなかったことを指摘した。