本論は、2010年10月に開催された日本思想史学会2010年度大会のシンポジウム「近代日本の宗教―仏教を中心に」での報告を論文化したものである。 1890~1900年代の伝統仏教教団と戦争、東アジア布教の問題を取り上げ、「帝国と仏教」の問題系を検討した結果、日本の近代仏教は戦争と植民地化を通じて東アジア世界に介入したことを明らかにした。また、近代仏教史をトランスナショナル・ヒストリーとして語り直すことを提言した。