本論は、国際日本文化研究センター第41回国際研究集会「近代と仏教」での報告原稿をもとに作成した成果である。日本の田中智学、スリランカのアナガーリカ・ダルマパーラという二人の仏教ナショナリストの思想を対象とし、「プロテスタント仏教」概念を用いて比較分析した。両者は1903年6月に日本で会談しており、互いに影響を与え合ったことを示し、その両者の関係がアジアにおける仏教ナショナリズム形成の一局面を表していることを明らかにした。