本論では、修士論文の内容をもとに、国柱会の創設者・田中智学が組織した1900~1920年代の日蓮主義運動を事例として、「国家と宗教」の関係と日蓮主義運動の運動論的特質を検討した。 分析の結果、田中の運動は、宗教(日蓮主義)を国家に優先させる理論的立場に立ち、1920年代には、国家ときわめて近接的な関係の下、「法国冥合」(政教一致)の実現によるユ-トピア世界の達成を志向した、宗教的な価値志向運動として展開された、と結論づけた。