本論は、修士論文と先行する2本の論文の内容を踏まえて、近代天皇制国家体制下で、仏教的政教一致の実現による理想世界の実現をめざした仏教系宗教運動(田中智学の日蓮主義運動)を社会学的に分析した論考である。 結論では、田中の運動が日露戦争前には「宗教の国家化」の実現をめざし、戦後には「国体観念」の普及を通じて、法華経に根ざした「在るべき日本」の自覚を国民に促す「国家の宗教化」をめざしたことを指摘した。