本論は、1999年3月に博士号を授与された博士論文である。1880〜1920年代の田中智学と本多日生の日蓮主義運動を対象として、近代日本の「国家と宗教」の関係(政教関係)と日蓮主義運動の運動的特徴を検討した。 分析の結果、日蓮主義運動は、国体神話を媒介とすることで国家との積極的な交渉を図り、日蓮仏教の国教化をめざしたことと、両者の運動は精神教化活動を中心とする思想運動であったことを実証的に明らかにした。