近代日本宗教史における「宗教と政治」の関係を、「宗教と政治文化」の関係を媒介として、動態的に分析する視座を示したのが、本論である。 近代日本の政教関係の研究において、国体神話(天皇制イデオロギー)という政治文化に着目することが重要であることを指摘し、田中智学の日蓮主義を分析した結果、田中の思想は国体神話の信憑構造を背景として、国体神話を教義・実践体系の中核に組み入れながら形成されたことを明らかにした。